スパイス「やまんばふーりふり」発売 障がい者就労支援施設の利用者がJAと共同開発
さまざまな香辛料の販売に取り組んでいる山形市の障がい者就労支援団体が山形県内の食品加工メーカーとタッグを組んで新たなスパイスを発売しました。原料には利用者が収穫した青トウガラシが使われています。
呼び込み「いらっしゃいませー!新商品となっております、発売開始です!お肉とか炒め物にも!まろやかでとってもおいしいですよー!」
店頭で客の呼び込みをしているのは山形市の障がい者就労支援施設「みちのく屋台こんにゃく道場」の利用者たちです。この日は新商品のスパイス「やまんばふーりふり」の試食会を天童市の産直店で行っていました。
「やまんばふーりふり」は食品加工などを手がける鶴岡市の「JA櫛引農工連」と共同開発したスパイスで、爽やかな香りを持つ青トウガラシに県産の米こうじと塩、ショウガをブレンド。ピリッとした辛みと爽やかな香り、そしてまろやかな旨味が特徴で、肉料理や野菜炒めなどにも合う味に仕上がっているといいます。
玉こん販売ノイズ「味がしっかりしみ込んでいてとってもおいしいですよ!ぜひたくさん召し上がって!下さーい!」
こんにゃく道場は、かつて養護学校の指導員を務めていた斎藤淳さんが2007年に設立。養護学校を卒業した教え子たちが一般企業に入ったものの、職場環境になじめず会社を辞めて引きこもってしまう状況を打開しようと立ち上げました。設立以来、玉こんにゃくの移動販売に取り組んでいます。
みちのく屋台こんにゃく道場・斎藤淳代表「障害がある方々の個性の強さが一番の武器だと思っている。障害がある方はどうしても出来ることが少ないとか、出来ないことだらけとか思われがちだが、不得手なことが99あったとしても得意分野が一つあればそれがしっかり社会で生かせる」
2017年からは利用者たちが栽培から加工までを手がける香辛料「やまんば」シリーズの販売にも乗り出しました。これまでに青トウガラシや赤トウガラシ、激辛の黄色トウガラシをそれぞれ使った「一味唐辛子」や「七味唐辛子」など限定品も含めて8種類を開発し、土産店などで販売しています。
新たに香辛料の販売に取り組んだ背景には、利用者に支払う賃金を上げたいという斎藤代表の思いがありました。
みちのく屋台こんにゃく道場・斎藤淳代表「B型事業所は事業所によって様々、障害の程度も違うっていう所もありますのでだいぶ苦戦しています。利用者と奮起しながら『やまんば唐辛子』のブランド化をして工賃をしっかり上げてきた」
厚生労働省の調べによりますと、こんにゃく道場と同様の運営形態を取っている障がい者就労支援施設の賃金は、全国平均が1か月当たり「1万7031円」。これに対し、山形県の平均は「1万4037円」で、全国でも下から2番目の低さとなっています。
こうした状況を変えようと取り組んだ香辛料の販売。店頭での試食会などを積極的に開き、商品の知名度と売り上げのアップを図ってきました。
その結果、利用者の賃金は香辛料の販売前に比べ1か月当たりおよそ6000円高い「2万3000円」まで上げることができたといいます。
7月20日ー。
呼び込み「やまんばふーりふりスパイスを販売しておりますぜひご覧ください!」
新商品の「やまんばふーりふり」の販売が始まりました。
試食「味わいが柔らかくてサラダにも合いそうな感じでいいですね」
(お魚にもバッチリ合います)「どうおいしい?」「うん」
「口の中に風味が広がり、強い辛味もないから料理と調和していいと思う」
利用者たちの元気な呼び込みもあり、販売コーナーには次々と客が訪れました。
客「やまんば唐辛子は家で使っている。障がい者支援もしながら安全安心でおいしいものを提供している所が魅力」
施設利用者「商品を手に取る人が増えて)すごくうれしい。お客様がいっぱい買いに来てくださるように元気よく接客したいと思っています!」
斎藤代表は、「やまんばふーりふり」を今後、アウトドア用品店やスポーツ用品店などにも卸したいとしています。
みちのく屋台こんにゃく道場・斎藤淳代表「『障害福祉の就労支援事業所が作っている』という知名度ではなく、やまんば唐辛子を『これおいしいね』ってお客の口コミで広がって作っている所がどこなんだっていうところで最終的に就労支援の事業所だと知るという所に行き着けば社会の壁も含めて社会参画も大きくなるんじゃないかと考えている」
「やまんばふーりふり」は税込1本594円で、天童市の産直店「サンピュア」で販売しているほか、11日からこんにゃく道場のオンラインショップでも販売しています。